知識産業の定義について(日本標準産業分類を用いた知識産業の定量的把握の方法)
知識産業を研究する際に、問題となるのは、その定義です。知識産業(Knowkedge Insustry)をどのように定義すべきかに関しては多くの議論があります。
私が過去の論文で提案しているのは、日本標準産業分類を用いて、知識産業(Knowkedge Insustry)を定義する方法です。そのさいに必要となる概念が、「対事業所サービス型知識産業」(Knowledge Intensive Business Services、[KIBS])です。
知識産業のさまざまな定義のなかでも、事業所に対して高度な知識の提供を行う「対事業所サービス型知識産業」(Knowledge Intensive Business Services、[KIBS])は、それ自体が最も成長著しい産業である事に加え、地域の技術革新を先導し、地域経済全体の発展を牽引する重要な産業セグメントであるといえます。
KIBSは、”比較的”定義が明快なので、それを「知識産業」とみなすならば、産業分類を用いて「知識産業」を定義し、実証的に把握することが可能となります。
筆者は過去の論文の中で、日本標準産業分類の「小分類」によるって、KIBSの具体的な定義を提案しています。
これは、(1)日本標準産業分類の「産業中分類」から、おもに他の事業所を対象にした支援業務を行っていると考えられるものを選定し、12中分類を抽出したうえで、(2)これらを小分類レベルで詳細に吟味して対個人サービスが相当数含まれると思われる5小分類を除外して、(3)さらに抽出された事業所サービス業のなかから、知識の生産と投入が主な業務であると思われるものを小分類レベルで抽出したものです。
抽出されたのは、ソフトウエア、情報、インターネット関連、機械設計、新聞、出版、広告政策などの20小分類です。
この定義は、すでにいくつかの論文で用いられています。日本における知識産業の実証分析における、スタンダードな定義として使いがってのよいものであろうと考えています。
(論文へのリンク)
日本建築学会計画系論文集 689号, 1523-1532, 2013年7, 査読有
山村崇, 後藤春彦
Keywords : 知識産業の定義、KIBS